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今年のお正月も、
「あけましておめでとうございます」というご挨拶を幾度となく交わした。
この「おめでとう」ということば、子どものころは
「なぜ、年が明けるとめでたいのだろうか」と素朴な疑問を抱いたものだ。

最近になってふと思うのは、
「新たな年もすばらしいものでありますように」
という意味が含まれているのではないかということ。

学生時代、日本古来の考え方である「言霊」について聞いたことがある。
言霊(ことだま)とは、ことばに宿ると信じられた霊的な力のことで、
発したことばどおりの結果を現す力があるとされている。

多少乱暴な言い方になるが、
「幸せでありたい」と願うなら「幸せだ」と言ってしまうということである。

歳を重ねるにしたがい、「めでたいものであって欲しい」という願いを込めて
「おめでとう」と挨拶をするという解釈の方がしっくりとくるようになってきた。
すばらしい年になるかどうかは自分次第、という自戒も含めて。

2梅
<丹波で選定した梅の枝 ほんのりと春の香>

by Tam

2016.09.25

最高の理解者

高齢者の施設で仕事をしていると、日々いろいろなことが起こる。
なかでも、もっとも辛いのは「永遠にお別れすること」。
水仙の家に異動になってから、何人の方を見送っただろうかと思う。

そして、もう一つ起こるのは、
通りすがりの人たちの「ピンチ!」に遭遇すること。
道で高齢の女性が転倒したとか、気分の悪くなった人が訪れるとか、
帰りがけに自転車同士の衝突に遭遇し、転倒した男性が心配で119番通報したことも。

もう数ヶ月前のことになるが、
駅の改札口で明らかに「自分の行くべき方向が分からない」とおぼしき高齢女性を
見かけたことがある。
なぜか、帰りがけに事件に遭遇する私なのである。
その人は改札口を切符や定期を使わずに通ったと思ったら
すぐに引き返してきた。
出てすぐのところで立ち尽くすその姿に、思い切って声をかけた。
聞くと家に帰る方法が分からない様子。
いろいろと説明しながら水仙の家まで来ていただき、
警察に連絡をとって家が分かった。

「ああ、良かった」と安堵するや否や、脳裏に浮かぶのは
お腹をすかせて家にいるであろう息子のこと。
今日は、こんなに遅くなる予定ではなかったので
夕飯の支度をしてきてはいなかった。
遅くなるとの連絡を入れ、我慢できなければ
冷凍庫に入っている非常用の焼きおにぎりでも
食べておくようにと伝える。

会議などの予定があり配偶者も帰宅が遅い時には
夕飯用のおかずを作ってから出かける。
息子が小さい頃は、
一人ご飯が続くと「今日も一人で食べるのか」と言われて胸が痛み、
逆に「大丈夫、もう慣れたから」と言われても辛かった。

高校生になった今は、食事の心配さえなければ
むしろ一人の方が気楽でいいようだが。

道に迷った女性を保護した夜、
帰宅して「ああ、疲れた」のため息をついた私に
「どうしたん?」と息子。
「ちょっと、いろいろあって・・・」と私。
すぐに、
「あっ、分かった。でも、言うと母さんよけいに悲しくなるから言わない」と息子。
「えっ、なに?」と問うた私に
「誰か亡くなったんかなと思った」と。

違う違う、と事情を説明しながら
最高の理解者やん、我が息子くん!
ほっこりと和む贈り物をもらったような気になった。



by Tam

2016.07.01

元気の素は?

私がケアマネジャーとして関わらせていただいているAさんは、この7月で89歳になる女性。
水仙の家のデイサービスとヘルパーを利用されている。
デイではご自分から積極的に話される方ではないが、他の利用者のご様子をじっくりと観察したり、利用者とスタッフの話をしっかりと聞いたりされている。

月に1回、ケアマネとしてAさんのご自宅に伺った時には、デイサービスでご自身が見聞きしたことをいろいろと話してくださるのだが、「ほんまに、よう知ってはるなぁ」と感心するぐらい、様々な情報がAさんの中には入っており、しかも出し入れが自由なのである。

時には、デイのスタッフが気づいていないようなことまでもAさんから聞くことがあり、その情報収集力と記憶力に尊敬のまなざしを向けるばかり。

Aさんは筆まめでもあり、スタッフによくお手紙をくださる。
便箋に縦書きの文字、旧仮名遣いなのが、国文科にいた私にはどこか懐かしく、しっくりとくる。

6月の末、いつものようにAさんを訪ねた時のこと。

数日前に、スタッフBの結婚報告を聞いたばかりのAさん。
「あまりに嬉しくて、体温が5分上がりました!」
「スタッフのBさんに、料理のコツの手紙を書くつもり」
とおっしゃりながら、Aさんの掴んでいるご主人情報を教えて下さる。なかには私の知らないことがらも含まれており、感心することしきり。
他にも、
「デイのスタッフがフラダンスを踊ってくれた。座ったままでもできるのであれば、私もやってみたい」
「〇〇という入所施設のショートステイにCさんもDさんも行っているらしいが、〇〇とはどんなところか?一度、見学に行ってみたい」
などなど…。
Aさんの関心と意欲は尽きるところを知らない。

何よりも、
「今が楽しい、もっといろいろなことを知りたい、見たい、聞きたい、やってみたい」
というAさんの気持ちがキラキラと輝いている

翌日、スタッフBは便箋5枚のお手紙をいただいたと喜んでいた。
私が90歳前になった時、きっとこんな元気はないだろうな…。

Aさん、人生の先輩として心から敬服します。
いつまでもお元気でいらしてください。

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by Tam

私がケアマネジャーとして担当している方が、少し前に体調をくずされた。
食欲がないとのことで水分もあまり摂れていない様子。
訪問介護のスタッフから状態を聞き、心配になって訪問した時のこと。
病院の予約を入れて、ご本人に伝えて、さて、それから。
何か少しでも口に運んでもらえそうなもの…と考え、ふと思いついたのが葛湯だった。
本葛はなくても、片栗粉はたいていの家庭にはあるもの。探すまでもなく、電子レンジの横で発見。
片栗粉を水で溶いて砂糖を加え、ポットのお湯を入れてから電子レンジでチン
とろりと程良い具合。
「お口に合うか…」と持っていくと、
「おいしいわ」と、こちらの予想以上に気に入って下さった。

ほっとすると同時に、自身が子どもの頃に風邪をひいたり熱を出したりした時に
母が用意してくれたものを思い出した。
まだ、生のパイナップルは輸入されていなかった当時、
風邪ひきはしんどいけれど、パイナップルや白桃の缶詰はちょっとだけのお楽しみ。
もう少ししんどい時には葛湯が登場する。
妹はすりおろしリンゴが定番だった。

そんな幼少時の経験が思いがけなく役に立つ。
同時に、そうして愛情をもって育ててもらったことに
深く感謝した出来事だった。



あけましておめでとうございます
本年もよろしくお願いいたします


年のはじめに、年末に感じたことを書きたいと思う。

12月の終わり、午後10時前に見かけた光景。
杖こそついてはいないものの、少し足元がおぼつかない高齢の女性。
忘年会帰りの人が行き交う通りから、
片方だけの手袋を拾い上げてガードレールにそっと乗せた。
そして、スーパーの買い物袋を下げた手と、もう片方の手とでバランスを取りながら、
少しずつ歩き始めた。
落とし主は帰途を急ぐ会社員か、アルコールで上機嫌の若者か。
もし気づいて、手袋を探しに戻ったら、手袋が道路ではなくガードレール上にあるのを見つけたら。
知らない誰かが拾ってくれたのだということに、思いを馳せてくれるだろうか。

思いやりの心はもちろん大切だ。
同じように、人のやさしさに気づくセンスも持ち合わせたいと切に願った。



by Tam

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