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2013.12.27

小さな植物園

Aさんはご主人と2人の息子さんと暮らしておられる、
小柄でかわいらしい奥さんです。
ご病気をされてから、安静が必要なのですが、
この家の家事は全てAさんの肩にかかっていて、
少しでもご負担を減らし回復していただくために、
週2回サービスに入らせていただいています。

ある日の事、お掃除に使ったハンディモップをベランダではたいていると・・・
Aさん:「これ何だと思う?」
私  :「え?何だろう・・」

謎植物

ベランダの台の上に、水を張った小さなプラスティックトレイがあり、
その中に直径2cmくらいの植物がいくつも
肩を寄せ合うようにして並んでいました。

Aさん:「これはね、よく行く美容院の奥さんにいただいたの。
    風や雨に当たって、取れてしまったのですって。
    でも、こうして水に浸けておくとちゃんと生きているのよ、不思議ね~」

他には、隣家の方に伸びてしまって、やむなく切ってしまった枝も、
しっかりと根を伸ばして新しい葉をつけていました。

植物3個


さらに最近仲間入りしたのは、
台風の時ちぎれてしまったA家の葉っぱ。

根っこ

Aさん:「お掃除の時に捨ててしまおうかと思ったけど、なんだか可哀想で、
    水に浸けてみたら根っこが生えてきたから。すごいでしょ?」


植物の生命力ってすごいなあ、と感心すると同時に、
様々な問題を抱えておられるご家族の輪の真ん中で、
ご家族をしっかりと繋ぎとめるために毎日くたくたになりながらも、
こんな小さな命すら見捨てずに育んでおられるAさんの優しさが心に沁みてきます。

Aさん:「こんな小さい葉っぱも頑張って生きているんだから、
    私も頑張らないとね。
    この子たちから、私は元気をもらっているの。」


そして私はと言うと、そんなAさんから元気をわけていただいているから、
雨の日も風の日も、自転車を漕いで頑張れるのです。

by Yuki

昼食後の歯みがきタイム、数人の利用者がチェストに座って
順番を待っておられます。

「足がだんだんいうこときかんようになってきたわ。
1年前とは全然違う。」
と、杖をつきながら96歳のAさんが洗面台に向かわれます。
歯をみがきながら、
「去年できていたことが、1年経ったらできなくなるのよ。
手伝ってもらうことは簡単やけど、自分でもせんとなぁ~」

社交ダンス、カラオケ、旅行…。
若い頃から好奇心旺盛で社交的、70歳代半ばまでは
いろいろと楽しんでこられたAさん。

「ダンスしてはったんでしょう?
昔やっていたことは身体が覚えてますよ」
とスタッフが声をかけても、
「もう、アカンアカン。身体が動かんし、忘れてしもうたわ」
と消極的です。
社交ダンスを習っているスタッフが、ここはちょっと強引(?)に、
Aさんの手を取り、

イチ、ニッ、サン、イチ、ニッ、サン

最初は小刻みに動いていたAさんの歩幅とリズムが
いつの間にかステップに変わり
ちょっと笑顔に。
そのうちに
ウィスク、シャッセと
スタッフのリードでひと踊り。

横を見ると、チェストに座っているBさんが
身を乗り出して真剣なまなざし。
「Bさんも一緒に踊りましょうか」
と誘うと大きくうなずき立ち上がり、

スロースロー クイッククイック
リズムに乗ってはじける笑顔

「あ~、楽しかった。まだ、できるなぁ」

AさんとBさんの
“まだまだいける”を確かめ合った午後のひととき。
そんなAさんを見て
今から、まだまだ30年はダンスを楽しめるなと
ほくそ笑むスタッフでした。

ダンスシューズ

by Ann子

2013.12.13

老眼となりて

最近、老眼がすすみました(泣)

私の場合、左右の視力や焦点がかなり違っているので、
老眼鏡をかけてさえ携帯や細かい字を見るときに、片目をつぶらないといけない有様です。
このアンバランスさが、微妙に生活に影響しだしました。

遠近感がうまくとれないために、
階段を降りるときに戸惑う
人と面と向かう時に
自分の右目の焦点が相手の顔にあってないのでは?
と気になってしかたがない
などなど…

この“目の老い”を感じ始めてから、
あるご利用者への関わりについて自分なりに変化がありました。

Aさんは脳内出血で左麻痺がありながら
奥様のお世話をされるようなしっかりした方です。
ここのところ足元がふらつくのですが、ご家族が手を添え支えようとしても
断固拒否されます。
通院に車椅子をお勧めしても、
もっての外!という対応をされます。
ヘルパーとして通院に付き添う時には、何事があっても支えられるように、
はらはらしながら半歩後ろを歩く・・・ といった具合でした。

「何でもないところで、立ち止まるんです…」
とのご家族のことばに、
Aさんは左目がほとんど見えておられないことに気がつきました。
私の状態でも不安があるのに、片目の視野がないのはどんな状態なんだろう? 
私たちが思う以上に不安や恐怖を感じておられるのでは? と、

「Aさん、今うしろから自転車がすり抜けます」
「かなり前ですが自転車が近づいてます」
「前の自転車、2人乗りをしているので気をつけますね~」 
など、意識して状況を説明するようにしました。

ある日のこと、支えようと出した手を
Aさんがしっかり握りしめてくださいました。
(手をつないでいただけことに感激したのは。この歳になって初めてです!)
「Keiさんと歩くのは安心ですわー」
との笑顔が嬉しかったです。

自分の身になって分かること…  
“老い”を感じることも悪くない…
そう思えた体験でした。

メガネ

by Kei

水仙の家に来られている利用者の中ではまだ若いAさん。
ご自身がしんどい時もあるけれど、やさしい言葉を皆さんにかけておられます。
以前“写真数珠繋ぎ”を提案してくださったのもAさんでした。
先日はそんなAさんの誕生日会でした。

お化粧もばっちり、明るい笑顔で登場され、
誕生日会が始まりました。
施設長からのメッセージ。
素敵な声で皆さんと『川の流れのように』や『もみじ』を唄い、と会は進行していきます。

「最後にひと言お願いできますか?」
と司会のスタッフからお願いすると、

「今日はありがとうございました。
今までつらいことも楽しいことも、いろいろあったけれども・・・」

ことばをゆっくりと丁寧に紡いでいくAさん。

それを受けて、ふだんから仲が良く親子のように接しておられるBさんが、
 
「長い人生、つらいことや、楽しいことは日本にもあったし、
誰にもあったこと。
今こうしてみんなと仲良くできることが一番の幸せ。
これからも仲良くしていこうね!」
 


個人のことだけでなく日本のことにも触れながら
力強く、お祝いのことばを贈られました。

互いに、様々なことを経験され、今ここ水仙の家で出会ったおふたり。
そんなおふたりの気持ちが、まわりの利用者の皆さんやスタッフの心に伝わり、
僕の胸もじーんと熱くなりました。
最後には

「これからも頑張ろう、エイエイオー!」

と、その場に居合わせたみんなが
おふたりのエールに合わせ、会を締めくくりました。


<手作りカードに写真とメッセージを添えて>

by オリーブの星

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