FC2ブログ
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2018.03.10

曽祖父のこと

曽祖父の事は、私が幼い頃から
「ひいお爺さんは画家だったけど、若いうちに亡くなって、有名になる事ができなかった」と聞かされ、そう思っていました。
つい最近までは・・・

ふと気まぐれに曽祖父の名をインターネットで検索してみたところ、
ある博物館が地元に縁のある画家として紹介している動画を見つけました。
そして私は、曽祖父がどのような人であったのか、改めて知る事となったのです。

画号は「高橋(たかはし)廣湖(こうこ)」
早世した人なのでその名をご存じの方はほとんどおられないと思います。

しかしながら、この人はなかなかに面白い略歴の持ち主です。


本名は浦田(うらた)久馬記(くまき)。熊本県の画家の家系に生まれ、父、浦田長次郎の元で絵を学ぶ。
熊本に巡業に来ていた劇団の座長に画力を認められ、上京。
この座長の名は、高橋こう。吉原の花魁(おいらん)を引退した後に一座を立ち上げ、当時はかなりの有名人で、木戸孝允と交流があった。
上京した久馬記は妻とともに高橋家の養子となり、高橋廣湖の号を名乗る。その頃に弟子であった堅山(かたやま)南風(なんぷう)氏は、廣湖亡き後は横山大観氏に師事し、後年文化勲章を受章される。




と、ここまでの経歴は知っていたのですが、博物館の動画を拝見して、それまで知らなかった曽祖父の姿が浮かび上がってきたのです。

高橋廣湖は東京・千住の地に縁が深い画家であったそうです。その昔、千住は近郊で採れた農作物の流通拠点で、問屋の旦那衆は午前中に商いが終わる為、午後は趣味の時間として使う事ができたそうです。芸術・文化への関心が高く新進の絵師や文人への支援を惜しまない旦那衆も多かったそうで、当時の千住には廣湖を支援する「芳廣会」という会もあったそうです。

我が家には曽祖父の作品が、前出の堅山南風氏が画商より買い戻し私の祖母、母に贈ってくださった物も含め何点か残されており、母、妹と相談して、これらを博物館の方に見ていただこう、という話になりました。探してみると、案外沢山の掛軸等が残っており、妹と2人、それらを抱えて新幹線に乗ったのが3年前の事でした。

111.jpg


222.jpg


博物館の方は、持参した曽祖父の作品をご覧になりとても喜んでくださいましたし、私たちは博物館の研究報告を拝見して千住と高橋廣湖の深い関わりを初めて知り、双方驚きの連続となりました。

博物館には、地元の旧家に残されていた古い絵画が持ち込まれる事も多く、現在あまり知られていない画家の作品が何点も出てくるそうで、廣湖の作品もその中に含まれていました。千住の青物問屋の旦那衆が廣湖を支援してくださっていた事の証なのでしょう。

生前の廣湖は決して無名という訳ではなく、今後の活躍を期待されながらも病に倒れ、惜しまれつつこの世を去ったそうで、当時の新聞にも取り上げられていたようです。
師匠であった松本楓(ふう)湖(こ)氏から廣湖の画号を授かり、その腕前は岡倉天心にも認められる程であったという事も、私たちは初めて知ったのです。

持ち込んだ掛軸は資料として預かっていただき、少し月日が流れた昨年の事、博物館の方から、文化遺産調査企画展を開催し、実家から持って行った作品も展示されるとのお知らせをいただきました。

そして11月、私と妹は、



文化遺産調査企画展
「高橋廣湖 - 千住に愛された日本画家 -」




を、この目で見る為に再び東京へと向い、少し息苦しいような緊張感に囚われながら博物館の門をくぐりました。

思っていたより多くの作品が展示されており、傷んでいた掛軸の数々は綺麗に修復され、ガラスの向こうで堂々と背筋を伸ばして立っているようにすら見えました。
実家で埃に埋もれていたこれらの作品を、思いがけず光の当たる場所へと出す事ができ、
とても大きな肩の荷を下ろせたような安堵を感じました。

その後、博物館の方よりお便りをいただき、専門の研究者の方からの問合せや図録の注文が何件かあり、今後ますます注目されていくだろうと記されていました。

これから先、世間ではどのように評価されていくものかは予測がつきませんが、私の中では「絵描きだった曽祖父」が「画家 高橋廣湖」となり、誇らしくも、少し寂しいような清々しさを感じています。


333.jpg


by Yuki

追記:ウィキペディアでも紹介されています。下記、URLです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E6%A9%8B%E5%BB%A3%E6%B9%96
スポンサーサイト

プロフィール

水仙の家

Author:水仙の家
職員が持ち回りで、その時に思ったこと感じたことを綴っていきます。
【ホームページ】水仙の家

最新記事

月別アーカイブ

カテゴリ

検索フォーム

QRコード

QR

リンク

Copyright ©水仙の家. Powered by FC2 Blog. Template by eriraha.

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。