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『ゆく川の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。
淀みに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまるためしなし。
世の中にある人とすみかと、またかくの如し』
鴨長明『方丈記』より


方丈記

今年もまた、奇麗な桜が咲きました。花冷えという言葉に似つかわしい気候だったためか、風雨にも耐え、思いのほか長い間、私たちの目を楽しませてくれました。

高齢の方にとって、冬は厳しい季節のようです。
毎年、利用者さんからは
「無事に冬を越えられるやろか」
「早く暖かくならんかなあ」

という言葉が聞こえてきます。

だから桜の開花は、私にとっては、長い冬がやっと終わり、待ちに待った春の訪れを実感していただくのに丁度良い話題なのです。

ある利用者さんにも
「桜がやっと咲きましたよ。デイサービスでもお花見に行くかもしれませんね」とお声をかけてみたのですが、返ってきたお返事は、
「またあの公園やろ。去年も見たし、何も変わらんから行きたくないわ」というものでした・・・

話題が空振りしてしまい、少しションボリした気分になりましたが、そこで私の頭を過ぎったのは、冒頭で引用した方丈記でした。
高校時代に授業で習った時、とても感銘を受けた随筆でした。

目の前の風景に横たわる川の姿はいつも同じように見えていても、流れる水は一時も留まることなく流れ、同じ水では無いのです。私たちの生活も川の流れのように、流れ続けて同じ毎日ではない筈です。

川面の桜

そこで
「去年の桜は散ってしまいましたから、今咲いているのはまた新しい桜ですよ」と言ってみたものの
「見た目に何も変わらない。つまらない」
と仰っていました。
確かに、見た目が同じでは、去年との違いを感じてもらうのは難しい話です。

家から出る機会も少なく、同じ調度品に囲まれて過ごしていれば、単調な生活になりがちで、今日が何月何日かも次第に分りづらくなってしまうでしょう。
なんとか、日々の変化を感じ、そこに楽しみを見つけていただく方法はないものでしょうか。
「今日は昨日より暖かかったですよ」
「新入社員っぽいスーツを着た人が沢山歩いていましたよ」
折にふれお話しても、それは所詮、他人の口から語られる伝聞でしかないのです。

何か、利用者さんご自身の五感で感じられる日々の変化を見つけることはできないか。
そのような事をつらつらと考える日々なのですが、どなたか良いアイデアがあれば、こっそりと私に教えてくださいませんか。

長明ゆかり 下賀茂神社桜

by Yuki








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